多額の現金残高

現金管理 粉飾の見抜き方

現金の管理は簡単なようで結構難しいです。

月に数件程度しか現金が動かないのなら管理は簡単ですが、毎日現金が動く企業では現金の過不足が発生します。

現金過不足が発生する原因

現金過不足が発生する原因は次のとおりです。

経理作業でのミス

どんなにしっかり管理しても現金出納帳の残高と実際残高が一致しないことがあります。記帳漏れ、現金の受け渡しを誤った、あるいは不正が行われたとも考えられます。

小売業であれば顧客から受け取った金額が間違っていた、釣銭を間違えることもあります。

経営者への貸付け

中小企業ではこれもよくあります。経営者個人に貸付けているのですが、それを貸付金で処理していないために現金残高が増えてしまうのです。

あるいは、経営者に現金を渡し、経理担当社員がが残金と領収書を受け取るが、それが一致しないこともあります。領収書のもらい忘れ、個人的なことに使ってしまったなどにより差額が発生、その結果として徐々に現金残高が増えていきます。

粉飾の可能性

経理業務のミスや貸付けによるものだけではありません。粉飾決算の影響で現金残高が増加することもあります。

例えば次のようなケースで現金残高が増えます。

費用の未計上

決算書作成の作業が進み、ある程度の利益額が明らかになってきたとしましょう。赤字だとはっきりしてきた時、何とか黒字にできる方法はないかと考えたら、売上高の架空計上や在庫の水増しもありますが、計上した費用を会計データから削除する方法も考えられます。

費用の未計上であれば、減価償却費の未計上があります。しかし、減価償却費を0円、つまり全額未計上にしてもまだ赤字の場合は交際費などの費用を削除することで利益を出そうとします。その結果、現金残高が減らずに残ってしまいます。

売上債権を回収

よく行われる粉飾方法である売上高の架空計上は、それを続けていけば売上債権が増加していきます。しかし、それでは粉飾がバレてしまうとの理由から現金で回収したように装うのです。

多額の現金を扱う業種ですか

多額の現金を扱う事業をしているわけでもないのに、決算書の現金残高が多い場合、粉飾決算をした可能性があります。していなかったとしても経理業務に問題があるかもしれません。

融資先の事業内容や資金の流れを再度確認してみましょう。

融資先が法人向けに商品やサービスを提供し売上代金はほとんど振り込み、仕入先や外注先への支払いについても振り込みであれば、多額の現金を保有することはまずありません。

個人客向けに事業を行っていたとしても、例えば、個人客のリフォーム業を行っている場合、数万円程度なら現金で回収することはあるでしょうが、多額の代金であれば通常は振り込みになるはずです。

仮にすべて現金回収であったとしても、盗難などのリスクを避けるためにすぐに入金するでしょう。期末日の夕方以降に回収することはあるかもしれませんが、あってもせいぜい1件程度のはずです。

まとめ

現金の管理は帳簿上と実際の残高が一致しないことがよくあります。それは経理社員がしっかり仕事をしていても発生することです。

しかし、多額の現金残高が発生しているということは、経理業務が杜撰であったり、経営者が法人の資金を使い込んでいる、あるいは粉飾決算の可能性があります。どちらにしても問題ですから、融資先のそのような企業があれば、決算内容は信頼性が低いと考えられます。

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