粉飾決算の首謀者

粉飾決算の首謀者 企業や経営者
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不正な会計処理を行い、実際よりも良い内容に見せることで銀行から評価されることを目的としています。そんな粉飾決算の首謀者は次の人たちです。

粉飾決算の首謀者

粉飾決算の首謀者には次の人たちがいます。

経営者

当然ですが一番多いのは経営者です。

経営者は自分が築き上げてきた(あるいは先代から引き継いだ)自社を守るために粉飾を行います。経営者やその家族の生活、従業員の生活、取引先を守るためにとの心情が強く働き、粉飾決算は不正行為だと認識しながら行っています。

また、経営者自身の保身のために行うこともあります。代表取締役の肩書を失うことは避けたい、トップである自分が今さら他社で社員として働くなんてプライドが許せない、そういう心理から行動することは少なくありません。

経理部長

次は経理部長です。経理に疎い経営者がいる企業では、経理部長が中心的な役割を担っていることがあります。

経営者から決算や申告、そして銀行交渉を任されているような場合は、自身の人事評価のため、そして経理業務がスムーズに進むよう粉飾を行うのです。

そんな経理部長が退職した場合は注意です。

経理部長が定年や病気を理由に退職するのであればそう問題はないかと思います。しかし、それ以外の理由で退職する場合は、企業の資金繰りが持たないことを悟ったと考えられます。先がない企業からすぐに退職するのは経理責任者です。

税理士やコンサルタント

外部の専門家である税理士や経営コンサルタントが粉飾行為を指導していることがあります。

本来であれば、それら専門家は顧問先の粉飾決算を止める立場にあります。しかし、そんな専門家たちが粉飾を認める、あるいは勧めるのには次の理由があります。

顧問先からの強い要望

いくら「先生」と呼ばれる立場であったとしても、顧問先から報酬をいただく立場にあります。最近は企業数が減少し、税理士やコンサルタントの顧問先獲得は厳しくなっています。難関資格である税理士になっても廃業する方は少なくありませんし、せっかく資格を取得しても開業しない方も多いです。

そんなこともあり、顧問先が粉飾決算をしたいと言われると、顧問契約解除を恐れるあまり強く拒否できないのです。

顧問料のため

経営改善の相談を受けた専門家は、経営支援の依頼を引き受けたいのですが、資金繰りが苦しい企業では顧問料の支払いが不安になります。

そんな場合に、粉飾決算をさせて可能なだけの資金調達をさせることによって、高額な顧問料を支払わせようとします。

そして、ある程度の顧問料を受け取った頃に経営を継続できなくなったら支援を打ち切るのです。

「経営を立て直すためには粉飾決算で銀行を騙してもいいから融資を受けなさい 」と指導し、顧問先企業に不正をさせ、専門家は高額な顧問料を毎月受け取り、しばらくしたらまた資金繰りが厳しくなりあますから、その時にもう融資がでなければ顧問契約を打ち切り逃げるのです。

そういった専門家には注意が必要です。とはいっても銀行員の皆さんが見抜くことは難しいかもしれません。顧問料が高いか適正かの判断は困難でも、新しい経営アドバイザーが関与してから急に決算書などの数字が良くなっている場合は注意しましょう。

銀行員

意外に思われるかもしれませんが、銀行員が首謀者になっていることもあります。

銀行員が自身の営業目標を優先させるあまり、融資先に粉飾決算を指示することがあります。これまでにも相談を受けた中にはそのような事例がありましたし、提携税理士からも聞きます。

実際にあった例をご紹介します。

架空売上高計上を指示

千葉県で運送業を営んでいたT社がありました。

順調な経営をされていたのですが、東日本大震災で一番の売上先が倒産しました。そのため多額の貸倒損失が発生、それを知ったメインバンクの担当者からは「これでは大幅な赤字で融資はできない。架空でいいから売上を乗せて黒字にしてください」との指示がありました。

経営者は本当にそんなことしていいのか確認したらしいのですが、担当者からは問題ないとの回答を得たことから、顧問税理士に決算申告を依頼しました。

その後、メインバンクからは融資を受けられたものの、他行に決算書を提出したところ、「内容について詳しく話を聞きたいので来て欲しい」と連絡があり、決算内容を疑われているは明らかでした。

そのタイミングで私にどう説明したらいいか相談があったのです。

しかし、粉飾する前ならよかったのですが、された後ではどうすることもできず、結局は廃業されました。

貸付金を消すようにとの指示

新潟県の地方銀行と取引をしているA社は、決算申告が無事終了した直後に担当者から連絡を受けました。

担当者は「決算書をいただきましたが、貸借対照表の資産に計上されている貸付金がやや大きいので、何とか他の科目にしてもらえませんか。銀行員の私が粉飾なんて言葉は使えませんから、調整というか、うまく貸付金を隠して欲しいんです。貸付金を他の資産科目にするだけなら、利益額には影響ないので税額は変わらないですし」と言ってきました。

犯罪組織

最近はないでしょうが、かつてビジネスローンが流行った頃、暴力団などの犯罪組織が資金繰りに困っている中小企業の粉飾決算を代行し資金調達できるようにしていました。

5千万円程度の年商を2億円ぐらいにして、もちろん利益も出した内容に粉飾をして資金調達がしやすくするのです。

報酬は融資額の10%から20%程度だったかと思います。

中小企業の資金調達環境が悪化している時は、経営者にうまい話で近づく人たちが増えます。

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