瀬野 正博

粉飾方法

繰延資産の計上

支出効果が1年以上に及ぶ費用を繰延資産として資産計上することがあります。繰延資産を使った粉飾決算は、赤字決算を避けるために費用の一部を繰延資産として資産計上し、その後に数年かけて費用計上する粉飾方法です。繰延資産の発生理由を確認しましょう。
粉飾方法

雑資産の増加

雑資産(貸付金、仮払金など)の増加は粉飾決算でみられる動きです。利益を出そうと費用を未計上するため、架空の現金残高が増加、それを隠すために貸付金や仮払金で隠そうとします。粉飾以外にも経理が杜撰、経営者による私物化も考えられます。
粉飾の見抜き方

従業員数で粉飾が見抜ける場合も

従業員数で粉飾が見抜ける場合があります。例えば、売上高の架空計上なら、従業員数は横ばいなのに売上高が増加し続けていれば、粉飾決算の疑いがあります。ビジネスモデルに変化でもない限り、1人当たりの売上高が急激に増加することは通常ないからです。
粉飾方法

少額の利益が続く場合

中小企業の経営者は、税金は納めたくない、しかし銀行からの融資は受け続けたいと考えます。そこで、赤字企業であれば、毎年少額の利益を出し続けることで、最低の税額で銀行の評価を得ようとします。売上総利益率等に変化がないか確認しましょう。
粉飾方法

借入金の未計上

銀行からの融資が受けられず、高金利業者からの借入れを隠したい場合、借入金を未計上処理している可能性があります。借入金残高と支払利息から平均金利に異常がある、借入金を売上高処理し粗利益率が改善されているなら、粉飾決算の疑いがあります。
粉飾の見抜き方

仕入高の未計上

仕入高の未計上による粉飾は、売上高の架空計上や在庫の水増しだけでは利益が出ない場合に行われる粉飾方法です。仕入高の未計上ですから、利益率、回転期間、内訳書等に異常が表れます。過去数期との比較で異常がないか確認してください。
粉飾の見抜き方

法人事業概況説明書

法人事業概況説明書とは、事業内容、決算内容、月ごとの売上高などを記載した書類です。裏面には月別の売上高等の状況が書かれており、売上高の架空計上や仕入高の未計上による粉飾が明らかになることがあります。法人事業概況説明書は必ず提出してもらってください。
粉飾の見抜き方

多額の現金残高

現金管理は意外と難しく、現金過不足が発生することはよくあります。しかし、多額の現金残高が発生していれば、経理作業が杜撰、経営者による資金の使い込み、粉飾決算の疑いがあります。費用の未計上や売上債権の回収を装っている粉飾をしている可能性があります。
粉飾方法

消費税の税込経理

消費税の処理方法には税込経理と税抜経理があります。税込経理の企業では消費税額の未計上によって利益を粉飾することが可能です。貸借対照表の未払消費税等に消費税額が計上されているか、損益計算書の租税公課に消費税額が反映されているか確認してください。
粉飾方法

役員借入金

役員借入金(経営者からの借入金)を使った粉飾方法があります。役員借入金を架空資産と相殺、あるいは役員借入金の債務免除益を売上高として処理して営業利益や経常利益を黒字にします。経営の苦しい中小企業が使う粉飾方法ですから注意が必要です。
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